
目次
「昼間、仕事をしているときは全然気にならないんです」
「でも夜、家でゆっくりしていると心臓がドキドキして……」
「寝る前になると、脈が飛ぶような感じが気になります」
診察室で、こうしたご相談をいただくことがあります。
昼間は普通に仕事も家事もできている。
階段も歩ける。
それなのに、夜になってソファに座ったときや、寝る前に布団に入ったとき、
「ドクン」
「ドキドキ」
「脈が飛んだ」
「心臓の音がやけに気になる」
と感じる。
すると、
「昼は大丈夫なのに、なぜ夜だけ?」
「これって不整脈?」
「寝ている間に何か起きない?」
と不安になりますよね。
夜や安静時に動悸を感じるからといって、それだけで危険な不整脈とは限りません。
動悸は「心臓の拍動をいつも以上に強く意識する症状」です。
静かにしているときだからこそ心拍を感じやすくなることもありますし、期外収縮など比較的よくみられる不整脈が隠れていることもあります。
一方で、心房細動など、確認しておきたい不整脈が原因になっていることもあります。
大切なのは、
「夜だから危険かどうか」ではなく、どんな動悸が、どのくらい続き、何を伴っているのか
を見ることです。
✅夜だけ感じる動悸は珍しくありません
「昼は平気なのに、夜だけ動悸がする」
という方は珍しくありません。
昼間は仕事、会話、移動、家事などに意識が向いています。
一方、夜になりテレビを見ているときや布団に入ったときは周囲も静かになり、自分の心拍に意識が向きやすくなります。
そのため、昼間にも起きていた心拍の変化を、
夜になって初めて「ドキッ」と感じる
ことがあります。
また、動悸を感じていても、実際に心電図を記録すると正常なリズムだった、というケースもあります。
つまり、
「動悸を感じる」=「必ず不整脈が起きている」
ではありません。
しかし逆に、
「昼間は元気だから大丈夫」
とも言い切れません。
発作的に起こる不整脈は、症状がない時間には心電図も正常になることがあるからです。
✅ 「ドクン」「脈が飛ぶ」なら期外収縮のことがあります
夜、ゆっくりしていると、
「一瞬ドクンとする」
「一拍抜けたように感じる」
「心臓が一瞬止まって、そのあと強く打つ感じがする」
という場合があります。
こうした症状の原因としてよくみられるのが、期外収縮です。
期外収縮とは、本来のタイミングより少し早く心臓が収縮する不整脈です。
早く収縮したあとに少し間があき、その次の拍動を強く感じるため、
「脈が飛んだ」
「ドクンとした」
と自覚することがあります。
健康な方にもみられることがあり、心臓に明らかな病気がなく、数も少ない場合には、大きな問題にならないことも少なくありません。
ただし、非常に頻繁に起こる場合や、連続する場合、心臓の病気を伴う場合などには評価が必要です。
✅「ずっとバクバクする」「脈がバラバラ」は別の不整脈のことも
動悸の感じ方は人によって違います。
一瞬「ドクン」
→ 期外収縮などでみられることがあります。
突然始まり、速い動悸が続く
→ 発作性上室性頻拍などの頻脈性不整脈が隠れていることがあります。
脈が速いうえに、バラバラ
→ 心房細動などを考えることがあります。
もちろん、症状だけで不整脈の種類を決めることはできません。
しかし、
「どんな感じだったか」
「何分続いたか」
「脈は規則的だったか」
は診断の大きな手がかりになります。
✅ 夜の動悸は、心臓以外が原因のこともあります
動悸の原因は不整脈だけではありません。
たとえば、
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睡眠不足
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疲労
-
精神的なストレス
-
不安
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カフェイン
-
アルコール
-
喫煙
-
一部の薬剤
などによって、動悸を感じやすくなることがあります。
特に、
夕食後のお酒
夜のコーヒーやエナジードリンク
寝不足が続いた日
などと動悸が重なっていないか、一度振り返ってみるのも大切です。
✅貧血・甲状腺・更年期などでも動悸は起こります
心臓そのものに異常がなくても、
貧血
甲状腺機能亢進症
発熱
脱水
電解質の異常
などで心拍数が上がり、動悸を感じることがあります。
また、更年期の女性では、ほてり・発汗などとともに動悸を感じることもあります。
だからといって、
「更年期だから」
「ストレスだから」
と最初から決めつけてしまうのもおすすめしません。
不整脈とそれ以外の原因は、症状だけでは区別できないことがあります。
一度心臓の状態を確認したうえで、必要に応じて他の原因も考えることが大切です。
✅ 夜に起きる動悸なら、心房細動にも注意
確認しておきたい不整脈の一つが、心房細動です。
心房細動では、
-
ドキドキする
-
脈が速い
-
脈がバラバラする
-
息苦しい
-
疲れる
などの症状がみられることがあります。
一方で、ほとんど症状を感じない方もいます。
特に、
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高血圧
-
糖尿病
-
心臓病
-
加齢
などは心房細動と関連します。
心房細動が重要なのは、単に「動悸が気になる」だけではなく、脳梗塞のリスクとも関係するためです。
「夜だけだから大丈夫」と自己判断せず、繰り返す不規則な動悸がある場合には、一度確認しておくことをおすすめします。
✅こんな動悸は、夜でも朝でも早めの対応を
時間帯より重要なのが、一緒に起きている症状です。
現在、動悸とともに、
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強い胸痛・胸の圧迫感
-
強い息苦しさ
-
意識を失った
-
意識が遠のく感じが強い
-
強いめまい
-
冷や汗
-
動悸が治まらず、体調が明らかに悪い
といった症状がある場合には、自宅で「治まるかな」と長時間様子をみないでください。
状況によっては、119番への救急要請を含めた速やかな対応が必要です。
✅症状が治まっていたら、病院に行っても意味がない?
いいえ。
むしろ発作性の不整脈では、
「病院に着いたときにはもう治っている」
ということがよくあります。
ここが動悸診療の難しいところです。
通常の12誘導心電図は、その瞬間の心臓の電気を記録します。
そのため、
昼間に受診して心電図が正常でも、
「昨夜の動悸の正体」が分からない
ことがあります。
そこで役立つのが、長時間心電図です。
✅ 夜だけの動悸では、ホルター心電図が役立つことがあります
ホルター心電図は、日常生活を送りながら長時間心電図を記録する検査です。
夜に症状が出る方であれば、
「いつもの夜の時間帯に、実際にどんな心拍になっているか」
を確認できる可能性があります。
症状が出た時刻と心電図を照らし合わせることで、
「そのとき期外収縮が出ていた」
「心房細動になっていた」
「頻脈が起きていた」
あるいは、
「症状はあったけれど、心電図は正常だった」
ということまで分かる場合があります。
症状の頻度が少ない場合には、さらに長期間記録できる心電図を検討することもあります。
✅循環器内科では何を調べる?
症状に応じて、必要な検査を組み合わせます。
① 12誘導心電図
不整脈、心拍数、伝導異常などを確認します。
② ホルター心電図などの長時間心電図
夜や寝る前など、診察室では起こらない動悸を記録します。
③ 心エコー
心臓の動き、心臓の大きさ、心筋の厚さ、弁膜症などを確認します。
不整脈の背景に心臓そのものの病気がないかを見るために行うことがあります。
④ 血液検査
必要に応じて、
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貧血
-
甲状腺機能
-
電解質
など、動悸の原因となり得る異常を確認します。
✅夜の動悸について、よくある質問
Q1.昼間は何ともないのに、夜だけ動悸がします。心臓病ですか?
夜だけ動悸を感じるという理由だけで、心臓病とは判断できません。
静かな時間に心拍を自覚しやすくなっていることもあれば、期外収縮などの不整脈が起きていることもあります。
繰り返す場合には、一度心電図で確認しておくとよいでしょう。
Q2.寝る前に「ドクン」とするのは危険ですか?
一瞬の「ドクン」「脈が飛ぶ」という感覚は、期外収縮でみられることがあります。
健康な方にもみられる不整脈ですが、頻度が増えている、何度も連続する、息切れやめまいを伴うなどの場合には受診をおすすめします。
Q3.ストレスでも動悸は起こりますか?
あります。
ストレス、不安、睡眠不足などは動悸を感じるきっかけになることがあります。
ただし、「ストレスのせいだろう」と自己判断して不整脈を見逃さないことも大切です。
Q4.お酒を飲んだ日の夜に動悸がします
アルコールは、不整脈を誘発・増悪させる要因になることがあります。
毎回飲酒後に動悸が起きる場合には、飲酒量と症状の関係を記録して医師へ伝えてください。
Q5.病院で心電図を撮ったら正常でした。もう大丈夫ですか?
通常の心電図が正常でも、発作的な不整脈が完全に否定できるとは限りません。
「夜だけ」「週に数回」など症状が断続的に起こる場合には、ホルター心電図など長時間の記録が役立つことがあります。
Q6.Apple Watchで記録してもいいですか?
スマートウォッチで症状が出た時間帯の心拍数や心電図を記録できた場合、診察の参考になることがあります。
ただし、スマートウォッチだけで病名を自己判断するのではなく、気になる記録がある場合には医療機関へ相談してください。
✅ 受診までに記録してほしい「5つのこと」
夜の動悸がある方は、できれば次の5つをメモしてみてください。
① 何時ごろ起きたか
② 何をしていたか
③ 何分くらい続いたか
④ 「速い・バラバラ・飛ぶ・強く打つ」のどれに近いか
⑤ 胸痛・息切れ・めまいなどを伴ったか
可能であれば、そのときの脈拍数やスマートウォッチの記録も参考になります。
「夜に動悸がする」という一言だけでも大切ですが、
症状が起きた瞬間の情報
があると、診断につながりやすくなります。
「昼は平気。でも夜になると心臓が気になる」
昼間は元気に過ごせている。
でも夜になると、
「ドクン」
「バクバク」
「脈が飛ぶ」
と心臓の存在が急に気になる。
そして布団の中で、
「これって、心臓?」
と検索している。
そんな方は少なくありません。
夜に動悸を感じるからといって、すべてが危険な不整脈というわけではありません。
一方で、
症状が出ているその瞬間にしか分からない不整脈もあります。
大切なのは、
「気にしすぎだから」
と片づけることでも、
「心臓病に違いない」
と怖がることでもありません。
何が起きているのかを確認することです。
豊中駅前さかい内科・循環器クリニックでは、症状のお話を伺い、必要に応じて心電図、ホルター心電図、心エコー、血液検査などを組み合わせて原因を調べます。
「昼間は何ともないんです。でも夜、ゆっくりすると気になるんです」
そんな言葉からで構いません。
その日、その瞬間の“不安”を、
何が起きているのかが分かる“安心”へ。
夜の動悸が気になっている方は、循環器内科へご相談ください。
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執筆者情報
酒井 拓
(医学博士/循環器専門医/抗加齢医学専門医/テストステロン治療認定医/CPAP療法士)
記事監修・更新日:2026年10 月3日
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、
診断・治療を目的とするものではありません。症状がある場合は医師にご相談ください。




